出会った時はシャツの胸ポケットに入る位小さかった。
いつまでも子供の様に思っていたが、いつの間にか自分の歳を越してしまっていた。
体重が減り始め、病院に行った時は既に腎臓がかなり悪くなって居た。
食事を変え薬も飲ませたが、良くなることはなかった。
彼は自分の寿命を悟り死への最短コースを歩み始めた。
家人達はその悟りが受け入れられず、彼の逃避行を何度も妨げてしまった。
しかし虫の息の中小さく嘔吐して、そのまま息を引き取った。
彼は無事川を渡ったのか、あれ以来気配を感じない。
人の魂は、お盆には帰って来るという。
確かにそれを感じたことがある。
彼もお盆には帰って来られるだろうか。
ここが彼の指定席だった。